2019年最新の SEO 動向

分析の準備は整いました。次は競争環境の動向を見ていきましょう。最初の疑問は、

「動向」と呼ぶほど状況は変わってるの?

という点かと思います。

ここでは Google 検索がどれぐらい進化しているのかをご紹介したいと思います。長文になりますが、お付き合いいただければうれしく思います。

Google はどこまで「賢い」のか?

「百聞は一見に如かず」と言います。まずは次の画像をご覧ください。

Google は文脈を理解している!

お気付きになられたでしょうか。

Google は今や文脈から意味を汲み取って、あなたが検索したい情報は何か、ということをかなりの精度で理解します。

この例を見ると、

  • 「休む」対象は子供でなく親の「仕事」であること
  • 「熱」は化学や物理の意味でなく「病気」、それも「看病」であること
  • 相談内容は「休んでも不当な扱いを受けないかどうか」だと推測されること

を Google は読み取っているらしい、と言えそうです。

「仕事」「看病」「不当解雇」、いずれも検索語には含まれないキーワードでの検索結果です。そして見事、皆さんおなじみの「弁護士ドットコム」様の記事がヒットしています。

すなわち、従来のキーワードを中心とした SEO 施策はもはや通用しない、ということを意味するのです。

皆さんの中には、こんな風に文章で検索することはないよ、と思う方もおられるでしょう。

ですが、スマートスピーカーの普及で音声による検索、言い換えれば、文章による検索は一般的になりつつあります。もちろんスマートフォンでも、音声検索は “Hey, Siri”, “OK, Google” の一言で簡単にできます。

スマートスピーカーに慣れ親しんだ人が増えるに伴い、文章による検索が中心になっていくことはもはや避けられません。

Google は何を評価するのか?

リンクが大事なのでは?

前節では Google が文脈を読み取れるほど「賢く」なっていることをご紹介しました。ですが、

たくさんリンクされているホームページが上位表示されるのでは?

と、疑問に思われた方もいるのではないでしょうか。

たしかに、かつてはリンクをたくさん持っているホームページが価値あるサイトだと判断されて、検索結果の上位に表示されていました。しかし、それを悪用するホームページ作成業者が表れたのです。その結果、逆に Google は不自然なリンクが張られたホームページにペナルティを与えるようになっています。

コンテンツが何より大事

現在の Google はそれほど単純ではありません。今では260項目以上の指標(注: 英語ページ)を用いてホームページの重要度を評価して順位付けしています。

実際に Google 自身が公開しているホームページのオーナー向けガイドラインから見てみましょう。

興味深く有益なサイトにする


人を引きつける有益なコンテンツを作成すれば、このガイドで取り上げている他のどの要因よりもウェブサイトに影響を与える可能性があります。

(中略)


読者が求めているものを把握して提供する


(中略)


他のサイトが提供していない、新しい便利なサービスを創造することを検討しましょう。オリジナルの調査情報を記載する、面白いニュース記事を公開する、固有のユーザー基盤を活用するといった方法もあります。他のサイトではこのような活動を行うリソースや専門知識が不足しているかもしれません。

Google 「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」より、抜粋および強調は弊社。

実際、弊社でも優れたコンテンツを提供すれば外部からリンクがほとんどなくても上位表示される事例を複数観測しています。お客様の意向で残念ながら公開することはできないのですが、もっとも極端な事例では、外部からリンクが一切ないのに狙ったキーワードで1位に表示されているブログ記事さえあるのです!

逆に言えば、外部のサイトに依存する不確かなリンクに頼らずとも、魅力的なコンテンツさえ用意できれば上位表示は十分可能だということです。

法律分野はどうなっている?

ここで法律分野特有の事情にも触れておきたいと思います。

まずは結論から言います。法律分野は、インターネット上の様々なコンテンツの中でも、お金や人生に大きな影響を与えてしまう種類の情報で、その専門性・権威性・信頼性が求められるジャンルです。

この傾向は特に重要視されるようになりました。

一昨年の WELQ 騒動を覚えてらっしゃる方は多いと思います。

この騒動を受けて Google は2017年2月に「日本語検索の品質向上に向けて」、同2017年12月に「医療や健康に関連する検索結果の改善について」と、立て続けに、「より信頼性が高く有益な情報が上位に表示されやすくなる」ように対策を発表しました。

Google は「信頼性が高く有益な情報」を提供するために、今も引き続き改善を重ねています。2018年8月には、検索エンジンのコアアルゴリズムを大きくアップデートしています。

あわせて発表された Google の検索品質評価ガイドライン(注:英語PDF)の更新された点から

  1. お金や人生に関わる検索 (Your Money or Your Life, YMYL と呼ばれます)について
  2. 専門性・権威性・信頼性(Expertise, Authoritativeness, Trustworthiness で E-A-T)をより重視する

ようになったことがわかりました。

同ガイドラインより当該部分をご紹介します。

2.3 Your Money or Your Life (YMYL) Pages

Some types of pages could potentially impact the future happiness, health, financial stability, or safety of use.

2.3 あなたのお金やあなたの人生 (YMYL)に関するページ

ある種のウェブページは将来の幸福や健康、金銭的安定、利用の安全性に影響を与える可能性がある。

(中略)

3.2 Expertise, Authoritativeness, and Trustworthiness (E-A-T)

専門性・権威性・信頼性 (E-A-T)

(中略)

5.3 Very High Level of E-A-T

Highest quality pages and websites have a very high level of expertise or are highly authoritative or highly trustworthy.

Formal expertise is important for topics such as medical, financial, or legal advice. 

5.3 非常に高いレベルの E-A-T

最高品質のページやウェブサイトは非常に高いレベルの専門性、権威性、信頼性を備える。

正規の専門知識は特に医療や金融、法的アドバイスのようなトピックで重要である。

Google の Search Query Evaluator Guidelines (Jury 20, 2018) より
強調は原文ママ、抜粋および飜訳は弊社。

スマートフォン時代に Google が求める条件とは?

ここまでホームページの内容を Google がどう評価するか、について説明してきました。

ですが、実際はもっと厳しく、内容を評価してもらうために満たさなければならない条件があります。

その条件を説明する上で前提となるスマートフォンの普及についてお話しします。

今どれぐらい普及しているのか?

2018年最新の調査結果を見てみましょう。


次に、個人がインターネットに接続する際に使用する端末については、13歳から49歳までと、60代以上ではその種類が異なっている。10代から40代では各年代とも80%程度かそれ以上がスマートフォンをインターネット接続端末として利用しており、この割合は他の端末と比較すると最も多くなっている。

総務省「平成30年版 情報通信白書」より。強調は弊社。

今件調査は15歳から69歳を対象としているが、そのような仕切りの調査対象母集団において、8割近くのスマートフォン所有率を示す実態(今件がインターネット調査では無く、郵送調査方式であり、ウェイトバックも行われていることに注意)は、改めてスマートフォンの普及の速さを確認できよう。


またタブレット端末だがもっとも古いデータの2011年では7.4%。それが確認できる直近値となる2017年では4割を超える形となった。15歳から69歳までにおいて、5人に2人近くがタブレット端末を有している。2018年ではさらに値は伸びているに違いない。

ガベージニュース「スマートフォン所有率は79.4%にまで躍進(最新)」より。強調は弊社。

いずれの調査結果からも、8割以上がスマートフォンでインターネットを使っている、ことが言えそうです。

パソコンと比べたスマートフォンの残念な弱点

皆さんも普段からスマートフォンはご利用になっているかと思いますが、ここであらためてパソコンとの違いを強調しておきたいと思います。

  • パソコンに比べて圧倒的に画面が小さい
  • 指でタッチして操作する(入力がとても面倒)
  • 端末の性能、回線速度が貧弱
  • 電車の待ち時間など隙間時間に利用する
  • 空港やカフェ等の公共 Wi-Fi を頻繁に使う

こういった傾向から、Google は「小さな画面でも読みやすく指で使いやすい、低速な回線・端末でも高速かつ安全」なホームページを高く評価する、と公式に発表しています。

パソコン時代と比べて、ホームページに求められる技術的な水準はこれまでにないほど高くなってしまいました。

私たちはどうすべきか?

ここまで Google の動向を中心に最新状況をご説明してきました。

あらためて重要なポイントをまとめると

  • 表層的なキーワードでなく、ホームページが持つコンテンツそのものの本質的な品質が評価される
  • 法律分野においては専門性・権威性・信頼性が特に重視される
  • スマートフォンに最適化しなければスタートラインにも立てない

残念ながら私たちは、貴事務所ホームページのコンテンツ自体については、一般的なアドバイスしか差し上げることしかできません。なぜなら、法律事務所としてどのような強みを持っているのか、あなた以上の専門家にはなれないためです。

ですが Google が求める高度な技術的水準を満たすスマートフォンへの最適化は、ホームページの普及率すら低い法曹業界においては、他の法律事務所を圧倒する大きな強みとなります。

次に、上記を踏まえて、弁護士事務所のウェブマーケティングにおいて大きなアドバンテージとなる、私たちが貴事務所にご提案する改善策について詳しくご説明したいと思います。